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社内広報でクロスメディアを実現するために

情報が集まる広報部
それがクロスメディア実践の鍵

 社内広報におけるネットコンテンツは、一般のサービスに比べると、およそ5年から10年ほど遅れている。これは、セキュリティ上、各企業が新しいコンテンツ導入に慎重にならざるを得なかったり、さらにはインフラを整えるのに膨大なコストと時間がかかるためだ。

 ようやく最近になって、社内広報の分野でもSNSやTwitterを導入する企業が増え、動画配信などのコンテンツ配信もかつてに比べて盛んに行われるようになった。
 その結果、クロスメディアを用いた社内広報が、がぜん注目を集めている。

 ここで改めて、クロスメディアの意味を考えてみる。
 かつてメディアミックスという言葉がもてはやされたが、これは、伝えたい情報をさまざまな媒体を通じて配信するというものであった。さらには露出の機会すなわち受け手との接点を増やすことで情報の浸透度を高める。つまり足し算の発想である。

 一方、クロスメディアでは受け手がメディアを横断するための利便性を上げ、より能動的なアクションを生むことを目的にしている。すなわち掛け算の発想である。
 つまり、点ではなく、線で考えるのがクロスメディアを用いたコミュニケーションの特徴と言える。

 マーケティングの世界に目を向ければ、クロスメディアはもはや一般的な手法である。
 某化粧品会社による新製品のプロモーションを例に見てみよう。まず新製品のプレスリリースと同時にキャンペーンサイトを作る。その後、各メディアやブロガーなどを対象に、先行お試し会を開いたり、Youtube上に製品ビデオを流したりしながら口コミによる広告を展開する。店頭に出回る頃を見計らって、テレビCMや雑誌広告を流してモメンタムを生む。その中で全国の販売店で開催されるお試しイベントを告知し、イベントの様子をU-Streamで中継するなどして、話題性を上げて来店者数向上へつなげていく。

 こうしたクロスメディア・マーケティングで重要なのは、消費者つまり受け手の動線を考えることである。どんな雑誌やテレビに触れ、どんな情報に価値を感じ、どんな行動パターンを取るかを把握した上で、情報を提供していく。結果、効果の最大化が図れるようになる。

 これは社内広報も同じである。受け手について深く理解していないと、誰も興味のない情報を垂れ流すことになってしまう。広報担当は、会社の最新動向や発信すべき情報を把握する一方で、受け手の特性についてもしっかり掴んでおく必要がある。

 そのためには、広報担当に会社中の情報が集まる仕組みを作る必要がある。今、会社の戦略上何が最も重要なのか、一方で社員たちはどんな情報を求めているのか。そうした情報が即座に察知できる体制や仕組み作りが何より大切だ。

 Webでも紙でも、編集部サイドは、どんな表現にしようかといった具合に、ついアウトプットのことばかり考えてしまいがちだ。しかし同じく重要なのは、インプットの仕組みづくりである。充実した情報を戦略的に広報すれば、さまざまなメディアがつながり合い、より受け手に印象深い形で届けられるはずだ。そこで受け取られた情報は、社員たちのさらなる能動的なアクションを生むことになっていくに違いない。

(インコミ・フォーラム 相山論説委員)
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